（ちょっと、ショックだった。）
───…ふうん。そう、なんだぁ…。
「結局、別れる理由を、考えてたな。三ヶ月くらい。」
───う、ん…。
「どうした…？」
（私は、わけがわからず涙をあふれさせていた。もしかしたら、さとるくんが宮さんと別れたことに対するうれし涙かもしれない。または、私が一緒に悩んだ結果がこんなことになってしまったこと、という悲しい涙か。それとも…）
───私…
（言おうと、思った。今度こそ…。でも、もう時間は迫っていた。発射のベルが鳴りはじめた。）
「それじゃぁ…」
（私は、こらえきれず、さとるくんの胸に抱きついた。）
「うん…。もう、わかったよ。」
（ベルが、催促しはじめているようだった。私は、さとるくんの言ってくれたその一言に、さとるくんの気持ちを感じながら、そっと身体を離した。）
───じゃ、ぁ…。
「じゃあな。元気で…美奈子。」
美奈子、と名前で呼んでくれた…。
そう思うと、涙が止まらなかった。
列車が、動きだした。
私は、聞こえるはずのない列車に向かって、叫んでいた。
「さとるくん…好きだよ！」
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