秋山さんとは、それ以来ほとんど会わなくなってしまった。その代わり、といっては何だが、久しぶりに中沢さんが姿を見せた。
部長が休んだミーティングから、ほぼ一週間が経っていた。明日はミーティングがあるという話を聞いたが、中沢さんもいれば、久々にサークルも活気づくだろう、そう思っていた。同時に、茎沢の姿も確認した。
明日のミーティングは、僕にとって、ある意味を持つものだった。僕はこの天文部にしか入っていなかった。しかし、いわば不純な動機で入ったこのサークルに、留まるか否か。確かに部室があるというのは、自分の居所が増えて便利ではある。かといってサークルそのものに興味がないのに留まる必要もないのではないか…などと考えていた。だから、明日のミーティングでサークルそのもの…あるいは部員でもいい、天文部というものに興味を持って接することができるのかどうか、それを確かめようと思っていた。
ミーティング当日。そういえば、もう下山は抜けたんだっけ…などと考えながら、何だかいつもとは少しだけ違った気分でミーティングに臨んでいた。部長も既に準備をしている。
ところが、来るはずの中沢さんや茎沢が、時間になっても部室に現れなかった。
「さて、…そろそろ始めようか。」
部長は、もうミーティングを始めようとしていた。それはいいのだが、部室の雰囲気が、いかにも中沢さんや茎沢の方に話題が向かないようにしてるみたいだった。僕は無意識のうちに部員の心を読んでいた。やはり、みんなそう考えている。それらの気分が、こういう雰囲気を醸しだしているのだ。
僕は、あえて隣のやつに尋ねた。
「…中沢さんと茎沢、来ないね、学校内では見たのにさ…。」
「あ、うん…。」口ではせいぜいそれくらいしか言わないだろう、とは思っていた。あとは、彼の心を読めばいいのだ。
「…とても、あんなこと言えない。中沢さんと、茎沢が────」
「何だって！」
僕は、それを聞いて、部室を飛び出した。別に部員たちがどう思ってても構わない…このことは、とにかく僕自身が、今すぐ確かめなければいけないことだ…そう思った。