あの日から数週間経った。僕はいつものように学校で授業を受けていた。
昼休みになってから、晴れた空を見ようと屋上に上った。柵に寄りかかって雲一つない空を眺めながら、僕はいろいろと考えていた。
僕は最近、天文部を抜けた。あれから数回、ミーティングには顔を出したのだが、中沢さんは一度も来なかった。茎沢も来なかった。数回出て、やはり僕が天文部に存在する意義というのは、中沢さん以外にないことに気づいた。だから抜けることを決心した。
何だか、目標みたいなものを一つ失ってしまったようで、妙に寂しい気分だった。それでも、もし中沢さんが学校に顔を出してくれたら、また気が変わるかもしれない…とも思っていた。
そういえば、唯一秋山さんと同じ授業でも、秋山さんの姿を見かけなくなった。それを思うと、寂しさも二倍になった。
下山とも、あまり話をしなくなった。彼は運動系のサークルに入ったらしい。ここ数週間で僕の周りの状況もだいぶ変わってきたなぁ、と思った。
そろそろ次の授業に出ようか…と出口のほうに振り向くと、頭の中に誰かのつぶやきが飛び込んできた。よく考えると、テレパシーを感じたのも久しぶりだった。
出口を挟んで反対側の柵の辺りに、誰かがいる雰囲気だった。僕と同じように空を眺めてるその人をよく見ると、それは秋山さんだった。
少しドキドキした僕の心を読んだのか、僕が彼女に気づくと同時に、彼女は振り向いた。
僕たちは、無言で会話を交わした。もちろん、お互いの心を読めたから、口に出す必要もなかった。もともと二人とも話すのが苦手だったというのもあったけど。
久しぶり。────うん。
最近、授業に来てないね。────うん。
何かあったの。────うん、まぁ、いろいろと…。
元気ないじゃない。────ちょっと、ね。
そんな感じで、彼女は少しずつ打ち明けはじめた。
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