しばらく、二人で空を見ていた。相変わらず雲のかけら一つ見当たらない、澄みきった空を。その下で、僕と秋山さんは、はたからみれば無言の、会話を交わしていた。
────梶原君は？
別に。────相変わらずなんだ。
…まぁね。────なんかもう、恋なんてしたくないって顔してる。
中沢さんのこと、あきらめるかもしれない。────ふうん。
話をしながら、同時に秋山さんのこともあきらめかけていた。そんな気持ちも少し頭をよぎってしまった。
────だけど。
何？────あの時。
あの時？────だいいち、あなたなんか…って、言った時。
…うん。────あなたなんか、私くらいしか好きになってくれる人いないんだからって、…ね。
えっ。────…あ、本気にしてる。
べ、別に…。────ふふっ。久しぶりに会うと、面白いなぁ。
僕は、秋山さんのことが…いや、女の子のことがわからなくなってしまった。でもやっぱり、中沢さんも、秋山さんも、もう…。