「たまえ。」
───あ、美奈子か。さとるくんなら、今ちょっと職員室に行ってるよ。
「たぁまぁえっ。今日はたまえに話があったのにさぁ。いいもん。そういうこと、言うんなら…。」
───ほんと？…ごめんね。ちょっと仕事で頭がぶっとんでたからさぁ。買い物か何か？
「そう。その、何かの部分。」（ちなみに、近くのパフェ屋さんに行くことだった。）
───うん、わかった。もうちょい、待ってて。
（少し待ってると、さとるくんが戻ってきた。宮さんと一緒に…。）
───やぁ、高谷か。どうも。
（さとるくんは、私のことをこう呼んでいた。）
───今日は…、予定あり？
「ありだよ。」
───じゃ、また明日で、いいや。
「ちょっとなら、いいよ。たまえが終わるまで。」
───小川さん、終わる？
（ちなみに、たまえのことだ。）
───あと、何分もかかんないと思うけど。
「じゃ、いいよ、聞いてあげるよ。」
そうやって明るく話ができた日は、気分も晴れやかなんだけど、いつもそういう風にはいかないのが実情だった。生徒会の仕事が忙しいときもあれば、宮さんと先に帰ってしまっていることもある…。こういう時はどうしようもないんだけど、やっぱり寂しい気持ちになってしまう。
それとは別に、さとるくんとはよく口論にもなるので、そのせいでけんか別れになって、暗い気持ちになってしまうこともある。すぐに仲直りはしたけど。
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